2011年02月28日

ブログのサイドバーにHIVの正しい情報があるといいねとか。

なんとあっという間に2月が終わりです。全く時間が過ぎるのは早いですね。
今月は、前の記事でお知らせしたICUのセミナーでちょっと語ったり、ボランティア関係でもこれまでは参加しなかった都内東部のゲイバーを訪問する活動に参加したりして、あと確定申告などもあって本当にばたばた。
おまけにこのところ寒暖の差が激しくてさらに花粉と言うことで、体調も微妙だったり。
でも来月は中旬には札幌へ所要で行ってひげ男爵のスープカレーを食べるなどのイベントもあるのでこんなところでダウンするわけにはいかないのです。

さてそんな中、僕も裏方のお手伝いをしている、HIVマップではちょっとした企画が進行しています。

HIVマップオリジナルバナー募集のお知らせ

HIVマップは、僕のブログに出入りされている方の中には以前からご存知の方も多いと思いますが、ゲイ・バイセクシュアルの男性を主なターゲットにしたHIVの情報サイトです。
これは、エイズ予防のための戦略研究という、研究グループによって作られたサイトなのですが、この研究班は今年度がラストイヤー。しかししっかり作ったこのサイトを研究班の活動が終わるからって閉じるのはもったいないね、むしろ今後も活用して欲しいよね、という声があり、ゲイ・バイセクシュアルの方のブログのサイドバーなどにバナーを置いてもらえたらいいね、となって、でもブログはいろいろなデザインがあるからバナーもいろいろ選べると楽しいんじゃないかなってことで考えられたちょっとしたキャンペーンがこのオリジナルバナーの募集なのです。

もうしばらくの間募集は続くようなので、イラストや写真が趣味の方からプロの方まで、ぜひぜひご参加いただければなって思います。ギャラリーページを作るか何かで応募作は一堂にお披露目となりますので、コンテストではありませんから、気軽に、無理の無い範囲で送っていただければと考えています。


今月もなんだか告知になってしまいましたが、来月になればイベントあり札幌行きあり、後半には某社会貢献ユニット関連の展覧会もあります。また告知も出します。

そうそう、この間の週末には、花見のためのスイーツもオーダーしてきました。
春ももうすぐですね。
posted by sakura at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月30日

仕事もボランティアも今年僕が進む道の上にあるとか。

今年に入ってからなかなかブログの更新もできませんでしたが、ようやく初めての記事になります。
今年もよろしくお願いします。


さて、各地で寒波だ大雪だという状況ですが、最近僕を悩ませるのはなんと言っても静電気。
異常に乾燥した日々が続いた成果、どうも例年をはるかに越える静電気に悩まされています。
何が嫌って、髭が逆立って揃わないことなんですが、花粉対策も兼ねてそろそろ少し短めにしていかないといけないかなって思っています。
こんな時期に限っていろいろな人に会うイベントもあって、タイミングを見計らっています。

HIV関連のイベントは、とりあえず2つ+毎月恒例のLiving Together Loungeです。

・『HIV陽性者による第24回日本エイズ学会参加報告会』
日時:2011年2月5日(土)14:00 〜 16:00
場所:R3C貸会議室・セミナールームA(渋谷区代々木2-4-9 NOF新宿南口ビル4F)

これは毎年行われている、日本エイズ学会にスカラシップを得て参加した陽性者の方が自分の視点から学会の報告をするというイベントです。
詳しくはこちら。
http://www.ptokyo.com/scholarship/aboutscholarship.html#reporting

・ジェンダー研究センター・ANT 304 J/E:民族学地域研究 共催セミナー
HIV/エイズを考える −病の他者化への抵抗−
日時:2011年2月10日(木)13:15〜15:00(Super 4)
場所:国際基督教大学 本館316
言語:日本語(同時通訳なし)
予約不要

こっちはまさかのワルダクミ・メガネーズが背後で暗躍しているとかしていないとか(謎)。
詳しくはこちら。
http://web.icu.ac.jp/cgs/2011/01/20110210.html

HIV関係の活動を始める少し前に僕が興味を持った学問が「医療人類学」でした。大学時代、学部で人気のあった一般教養科目の文化人類学は概論しかやらないので嫌いだったけれど、医療人類学は今も面白いな〜と思って、何かの機会にきちんと勉強したい学問です。
そんな方向のイベントで、この日は僕は休暇を取得しているので、ちょろっと参加してくるというわけです。


そんな感じで今年も仕事とボランティアを両立しながらの日々がすでに始まっているわけですが、完全に別個ではなくて、それぞれで得られた学びが相互に役立つような形を目指していきたいなぁと思っております。

posted by sakura at 01:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月31日

忙しかった年は終わりもばたばたと締めるとか。

今年もぎりぎりになっていますが・・・・。

2010年は、今まで接点の少なかった人のお手伝いができたり、一方で本当はもっと手伝わないといけない人の手伝いがあまりできていなかったり、そんな年でした。

自分の中ではBrassMIX!としてきちんと東京パレードを歩くこともできて、楽器関係はなかなか楽しかったのですが、ボランティアまわりは思ったことがなかなかできなかったこともあって、来年はまた今年で来ていないことのドローからしていかないと、と思っています。

個人的な楽しみとして大きな出来事としては、新得の空想の森映画祭のため北海道に2回行きました。花見のスイーツも会心のプランが組めました。来年に向けてハードルをあげてますが(汗)。
あとtwitterをはじめました。IDは Hige_to_Horn です(ベタだ・・・・)。

でも一年通して言えることは、なんだか忙しい年でした。
来年はペースダウン?それとも自分の能力をもっと上げていく必要があるのかもしれないですね。


来年も皆様にとって素晴らしい一年になりますように。
それでは毎年似たような展開ですが・・・・

2011年もよろしく.jpg
posted by sakura at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月28日

様々なことが当人が気づかないうちに進行していると解る新作カレンダーと個展とか。

学会も終わって、ドイツからのHIV完治症例騒ぎもひと段落して、ようやく落ち着いております。

といっても今日は仕事納めだし明日からコミケですが(爆)。


そんな喧騒の中、先日、悠君の個展に行ってきました。

くま絵師個展2010.jpg

例によってくま絵が二子玉川のお茶のお店「Lasah」を飾っているわけですが、クリスマスの翌日からは来年の干支にちなんで兎なども登場しております。

しかし、今年の目玉は僕的にはこちら。

BearssMIX.jpg


“BearssMIX!”カレンダーです!

僕の記憶に間違いが無ければ、このカレンダーは、twitter上で悠君が来年のカレンダーのモチーフを考えていたところ、この前までテニスとウクレレだった人が楽器ネタをねじ込んだように記憶していますが、指揮から始まって多種多様な楽器がならぶというマーチングブラスの雰囲気そのままのカレンダーです。

そして順番的なものもあって、なぜだかホルンは花見月に(苦笑)。
しかも体のサイズとバルブの数から言って、このホルンはこのブログではおなじみの「ピッコロホルン」です(爆)。
決してFシングル管がおなかの上にのっているわけではありません。いくらこの間の健康診断で腹囲が92とかあってはならない数値をたたき出したばかりとはいえそれは無いのです(不必要な場面で問題発言)。

ちなみにこのカレンダー、何人かは明らかにモデルがいるのですが、モデルの半分くらいは、描かれたことに気づいていません。個展は明日が最終日、果たして何人が気づくのかとニヤニヤしながら見ております(限りなく共犯)。
posted by sakura at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月19日

今後重要度を増すはずのエイズ学会レポート薬物編とか。

この週末を使ってのラストスパートで、5本にわけて書いてきた学会レポートもなんとか学会終了後1ヶ月経過する前にアップできました。

学会誌や配布物.jpg

実は学会の配布物が僕の部屋の中に産卵した状態はまだ続きますが(爆)。


最後に取り上げるのは、薬物依存症のシンポジウムと、関連の深い精神科の医療連携です。これはこのところ急速に重要性がうたわれてきた(実際には前から問題だったわけですが)印象がある話題です。
もう一度だけ長文にお付き合いください。


薬物などの依存症、そしてメンタルヘルスに関しては、今回は2つ重要なセッションがありました。初日のシンポジウム「薬物依存とHIV」、そして最終日の共催セミナー「HIV陽性者を巡る地域支援の連続性」です。

前者は、そもそも薬物依存について知ろうというセッション。国立精神・神経センターの和田先生からまず薬物依存とは何なのかという点が非常にわかりやすく説明されました。

大雑把にいえば、まず薬物を使用する「薬物乱用」があり、その結果脳が薬物を求める衝動を自分でコントロールできなくなったときに「薬物依存」であるということです。
まず「薬物乱用」と「薬物依存」と「薬物中毒」の違いについての解説がありました。
「薬物乱用」は使う行為のことで、1回でも使えばそれは「薬物乱用」であるそうです。ですのでその行為をとらないように警察が取り締まります。そうして服役などにより薬物から引き離して対処します。

しかし「薬物依存」の段階に進むと、薬物を探し求めるという行動が自分で抑制できなくなります。ここで大事なことは、それは脳の問題だと言うことです。薬物依存が脳の問題である以上、それは「治療」の対象であり、なおかつ完治はしないそうで、回復のためのプログラムを使用して日々薬物探索行動を抑え、改善に努めることになります。しかし日本など薬物に関して法規制が優先される国では治療ではなく「処罰」が与えられてしまいます。そして刑期を終えて出所するけれど、脳の症状は改善していないので再び薬物を求めて再犯となる、以下繰り返し、ということだそうです。

「薬物中毒」は幻覚などの身体に影響が出た段階です。この「薬物中毒」は治療ができます。しかし治療しても「薬物依存」の状態に戻ると言うことです。このあたり実はHIV感染とエイズ発症の関係にもちょっと似ているかもしれません。

この「依存」をどうにかすることが最大の問題だと言うことになります。

今回はダルクスタッフの方(ご自身も当事者)と当事者の方も登壇し、ダルクの説明や回復のためのプログラムについても話がありましたが、医療少年院などではそうしたプログラムが一部実施されているものの、必要な人すべてに提供されているわけではないことも語られました。ただこうしたプログラムを受けると、ダルクのスタッフとの間にコミュニケーションが生まれ、出所後にダルクにつながり継続したプログラム参加がスムーズにいくことがあるそうです。

先日NHKの番組でアメリカのドラッグコートの様子をたまたま見たのですが、裁判所が薬物使用者を回復プログラムにつなげる働きをすることで再犯率を減らしているそうです。まずはそうした「治療が必要」という認識を広げていくことが大事であると同時に、HIVにも感染している薬物依存の方は「2つの疾患を抱えている」ということをしっかり受け止める必要があると思いました。
そう考えると他科診療の問題がやっぱりこの分野に浮上してきて、拠点病院は薬物依存症の治療ができるのか、という問題もあるように感じます。

質疑応答では「ハームリダクション」という単語が出てきまして、本題ではないのでさらっと流す形になってしまいましたが、今後この言葉はHIV関連のシンポジウム等で耳にすることが多くなりそうです。一応解説ページもご紹介。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/shout/harmreduction.html

ドラッグコートができる前は日本とアメリカが断固反対していたハームリダクション、現在は日本とロシアが断固反対しているようです。


余談ですが、当事者の方は砂川秀樹さんらの著書「カミングアウト・レターズ」を服役中に読んで支援団体につながったとか。実は今回の学会、砂川さんのパートナーさんが3日間参加されていて、かなりの時間僕と一緒にいたのですが、この時間帯は裏番組のセッションに行ってしまっていたのです。後からお伝えしたら大変感激されておられました。


もうひとつの最終日のセッションですが、内容に入る前にひとつ。
このセッションは手前のセッションが押した結果なんと30分遅れてスタートとなってしまいました。学会ではもはやあり得ないレベルの遅延ぶりです。
ちなみに手前のセッションは一般演題の「分子疫学」(基礎分野)だったのですが、さらにその手前の「宿主因子」(やはり基礎分野)からもしかしたら遅れていたのかもしれません。詳細は分からないのですが、危うく垣根を超えて一触即発になるところでした(苦笑)。

こちらのセッションはHIV診療を行うクリニックである新宿東口クリニックの山中院長と、同じくしらかば診療所の精神科医の平田先生、東京女子医大のナースの岡野さん、町田保健所の向山さんという、まさに現場からのパネリストが揃っておられました。

ここで出てきたキーワードは「リエゾン精神看護」。

リエゾンとはフランス語で「つなぐ」とか「橋渡しをする」という意味なのですが、東京女子医大ではメンタルヘルスに関する部分をHIVの専門看護師だけでは担いきれないところもあり、精神科のリエゾン精神看護を勉強した専門ナースが協力して、精神科との連携をはかっているとのことでした。
精神科はまだまだ敷居が高く、患者自身が抵抗があると言うケースも多いようですが、本来薬の問題さえ相互に理解されていれば、治療に際して出血をともなう科ではないので連携しやすい領域、という指摘がありました。また大病院の精神科ではなく町のメンタルヘルスクリニックのほうが症状からも通院環境からも適している場合が多いので、あとはどのようにHIVへの理解を深めていくかがポイント。ただし現状では医療者個人のネットワークによるところがあるようで、このあたり町田保健所の向山さんからは公的な診療ネットワークを意識した「まだまだ保健所にできることがある」という心強い言葉が聞かれました。
全体を通して見ると、精神科の治療に関する知識もある程度はHIV専門医もあったほうが良いが、専門領域に踏み込むのではなくあくまでも連携していくことのほうが重要との印象がありました。ただし今回は首都圏の方での話でしたので、地方に行くと若干事情が異なる部分があるかもしれません。診療科が何であっても「近所の町医者へのカムアウト」への抵抗感は残ると思いますので。


以上で今年の日本エイズ学会のレポートを終わります。
ずいぶん長くなってしまい、また最終アップまでの時間もかなりかかってしまいました。さすが日本最大のゲイイベントは書くことが多すぎますね(ゲイイベントではありません)。

来年は何とエイズデーをはさんだ11/30〜12/2という強行日程(汗)で、新宿のハイアットで開催されます。でも仕事帰りに一般公開シンポジウムに行くチャンスは増えるかもしれませんね。
posted by sakura at 17:02| Comment(5) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月18日

どうしても松山に注目してしまうエイズ学会レポート予防啓発編とか。

少し間が空きましたが、学会報告シリーズの第4弾は社会分野からMSM(男性とセックスする男性)を中心に予防啓発についての話題をピックアップします。
例によって長文ご容赦ください。


今回注目していた「地方都市における啓発プログラム」のシンポジウム。いつもこのてのシンポジウムは、他の重要課題と同じ時間に組まれてしまうのですが、今回はしっかり参加することができました。

今回パネリストとして発表を行ったのはWAVEさっぽろやろっこ横浜CruiseHaaTえひめの各団体で、座長は「エイズ予防のための戦略研究」に関わっている東京と大阪の二人という構成。
非常に馴染み深く、またどこかでお見かけした顔が並ぶというシンポジウムでした。
ちなみにこのシンポジウム以外の演題では福岡のLove Act Fukuokaや沖縄のなんくる、また名古屋のANGEL LIFE NAGOYAのイベントとしてNLGRもMSMなどの演題で取り上げられていました。

各団体で行政との連携について何かしら話があったりしたのですが、やろっこは仙台市とは関係が良いが宮城県とはまだ連携は深くない。HaaTえひめは松山市とも愛媛県ともうまいことやっている。この違いがひとつのポイントになっている気がしました。つまり、「その団体はどこまでカバーするのか」ということです。
市から助成を受けると、それは市のために使うお金、ということになります。しかしながらMSMのコミュニティが必ずしも行政区分に合わせて組まれているわけではありませんから、NGO側が感じている必要な規模と、行政が手を出せる規模とが食い違うことはあります。

そしてそれ以上に困難さを醸し出すのは、「ゲイ向けの活動に税金から金を出す」ことについてはまだ抵抗感が根強く、1つの自治体を説得するだけでも大変なのに市の次は県、あるいは隣の市、といったことをしていくのはNGOの負担がとても大きいということです。実際のところ、やろっこさんはなかなか難しい中活動している様子がうかがえました。
あと、個人的には、地元の方はどうかわかりませんが、遠目に見ているとやろっこの活動は見えるんですがその母体である東北HIVコミュニケーションズの活動が同時に見える、ということが少ないんですよね。もっと予防と支援の両方の部門を持っていることの強みが見えると良かったなぁと思いました。これは僕自身の活動への反省でもあるのですが。

さて、愛媛の状況は全く違います。HaaTえひめのサイトではこんな紹介がされています。

◆◇◆◇◆
HaaTえひめが実施する事業は、行政などからの公的資金や個人からの寄付金などによってまかなわれています。
◎愛媛県エイズ予防啓発委託事業(H19年度〜)
◎公益財団法人 トヨタ財団 地域社会プログラム(H22年度〜)
 【※松山HIV/AIDS予防啓発コミュニティ協議会(プロジェクト実施主体:HaaTえひめ)】
◆◇◆◇◆

松山HIV/AIDS予防啓発コミュニティ協議会には市からも県からも参加がある上に、HaaTえひめが主体となって協議会を仕切っていて、協議会の名前でトヨタ財団の助成を申請したら通りました、ということです。
こんな展開は日本では都市部だってありません。自治体の規模に対して提供できる取り組みの大きさと言う点では、松山は日本でも有数の成功事例だと思います。

ただし、別の意味での困難さが松山にはあります。四国には陽性者支援団体が無いのです。一番近くて有名どころと言うと瀬戸内海の向こうの広島になります。質問を投げてみましたが、やはりこの部分は課題としてどうしても残るようでした。
とはいいつつも、12月5日にはLiving Together Cafeとして陽性者の手記のリーディングやライブのイベントを開催して、Living Togetherというメッセージを打ち出す試みもはじめられたようです。35人参加したとスタッフさんからツイッターで教えてもらいましたが、なかなかの集客じゃないでしょうか。

シンポジウムの後で座長の方とも話をしましたが、都市部は団体の規模もあるけれどもMSM人口やMSMの中での多様性も幅広いので、都市部は都市部で問題を抱えているし、地方の取り組みから学ぶことがたくさんあるので、今回は地方を取り上げたけれども、都市部の活動と課題にフォーカスしたシンポジウムもしたいね、なんて話をしました。


学会の期間中、いくつかのセッションでは、日本人成人全体のHIVの罹患率は0.02%とかだけれども、MSMの間ではMSM人口をどのくらいに見積もるかによるけれど1%は超えているのではないか、という話が出ていました。実際にMSM向けの検査イベントや各種調査でも、数字はばらつくものの、MSMはやっぱり罹患率の高い層。しかしその一方で、MSMを前面に出すと公的予算がおりにくかったりする現実もあるわけで、そのあたりの工夫はもちろん、行政に関わる人でMSM向けの活動に熱心な方のメッセージが伝わることも大事なんじゃないかな、と全体を通じて感じました。今回は神奈川の保健所勤務医である中澤先生や、「エイズ予防に関する戦略研究」が今年度で終了するにあたって次年度以降の事業化などに言及された名古屋市立大学の市川先生あたりがMSM関連のセッションでたくさん発言されましたが、それこそ仙台や松山、福岡などの行政の方の話も聞きたいなぁという想いが強くなりました。


さてまた文章ばかりなので、最後にちょっと学会のグッズなどもご紹介。
製薬会社がブースや共催しているシンポジウムなどの場でグッズを配るんですね。


ボールペンとトートバッグ.jpg

アボットジャパンのトートバッグはロゴが控えめで使いやすい感じです、手に持っているのはヴィーヴィヘルスケアのボールペン。

レイアタッツフォルダ.jpg

これちょっと凝っています。ブリストル・マイヤーズのセミナー資料なんですが・・・・。

レイアタッツフォルダ見開き.jpg

開くとレポート用紙つき。学会っぽいですよね。

ちなみに、違う意味の学会グッズとして、某似ぐま絵師が上記のシンポジウムのパネリストの似ぐま絵を描いていて、シンポジウム後に手渡していました(それはグッズなのか・・・・?)。
posted by sakura at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月10日

ようやく取り上げられたエイズ学会レポート陽性者パートナー編とか。

エイズ学会のレポートを、2つ前の記事から書いています。

日本エイズ学会でも、陽性者本人ではなくパートナーへの告知や支援については演題として取り上げることがあまりなかったのですが、今回、ワークショップとして「パートナーへの告知と支援」が独立したセッションとなりました。
このブログでの学会レポートでも、独立した記事にしたいと思います。

僕自身はこのセッションが生まれたことをとても重要に感じていました。そもそも、陽性者本人に比べてパートナーへの支援が手薄なのは明らかで、逆にここが手厚かったら、告知直後に別れるカップルも少なくなったりするんじゃないかなぁ、異性愛の方で婚活で苦労されている方も減るんじゃないかなぁ、なんてことも思ったりするわけです。

しかしこのセッションは、ある先生の言葉を借りれば「本学会で最も議論を巻き起こしたセッション」になったのです。
なぜそうなったのかを僕の所感や補足を交えて書いていきたいと思います。

ワークショップと言うのは、同じようなテーマの演題を集めることでより深くその問題を考えようと言うセッションです。別にグループ学習とかがあるわけではないのですが、連続して聴くことで、特定のテーマをいろいろな角度から学ぶことができます。
「パートナーへの告知と支援」という形でまとめられていますが、「告知」と「支援」はある意味相反するところがあります。パートナーへの告知と言うのは今回の学会発表においては「周囲の人の理解」というような意味合いではなく、「陽性者のパートナーと言う、ハイリスク層への検査勧奨」という意味でした。これは当たり前ですがパートナーへのカミングアウトを意味しています(カムアウトせずにパートナーに検査に行かせるテクニックを持っている方もいるかもしれませんが)。
しかしながら、陽性者支援の現場ではカミングアウトについては極めて慎重です。特に陽性告知直後に陽性者が混乱した状態でカミングアウトすると、パートナーも一緒に混乱して収拾がつかなくなることはよくある話です。
というわけで、今回のワークショップは、最初から、公衆衛生を担う保健所や医療サイドは、パートナー全員にすみやかに検査を勧めてほしい、しかし支援のサイドはそんなに簡単に言わないで、という対立構造がなんとなく描かれているようなワークショップだったのです。

そして予想通りと言うか予想以上の議論が勃発したわけなんですが(苦笑)。

ワークショップでは保健所での検査勧奨状況、大規模医療機関で調査した患者のパートナーへの告知状況について発表があり、最後に陽性者のパートナーからの電話相談の内容についての分析を発表を支援団体がしたのですが、保健所と医療機関の発表には実に10人以上が質問や意見を述べるためにマイクサイドに立つという活発さ。こんな演題はなかなかお目にかかれません。
活発さと言うと聞こえはいいんですが、その内容は概ね反論や厳しいご指摘系だったのですけれど(爆)。

まず保健所の方の発表後のやりとりで明らかになったのは、そもそも「パートナーへの介入が必要」以上の指針が何一つないという事実、そして「パートナーの定義」という点さえ現場での判断に任されているとみられる点でした。

公衆衛生側で根拠としているのは「性感染症における特定感染症予防指針」です。これはクラミジアなどの指針ではありますが、HIVについても連携することが明記されているので、HIVにおいても適用されると考えて良い指針です。
http://www.jfshm.org/std/houritu/12-2-2/r-main.html
この中からこの記述がある部分と、すぐその次にある項目を抜粋します。

◆◇◆◇◆
第二 発生の予防及びまん延の防止
三 検査の推奨と検査機会の提供
(前略)
また、都道府県等は、住民に対して保健所における検査の受診を推奨するとともに、受診しやすい体制を整えることが重要である。また、様々な検査の機会の活用を推奨していくことも重要である。
なお、検査の結果、受診者のパートナーに感染の可能性がある場合は、パートナーの検査も推奨し、必要な場合には、医療に結び付け、感染拡大の防止を図ることも重要である。
さらに、国及び都道府県等は、性感染症の検査の実施に関して、学会等が作成した検査の手引き等を普及していくこととする。

四 対象者の実情に応じた対策
予防対策を講ずるに当たっては、年齢や性別等の対象者の実情に応じて追加的な配慮を行っていくことが重要である。
例えば、若年層に対しては、(中略)
また、女性は、感染しても無症状の場合が多い一方で、感染すると慢性的な骨盤内感染症の原因となりやすく、次世代への影響があること等の特性があるため、女性に対する普及啓発は、対象者の意向を踏まえるとともに、対象者の実情や年齢に応じた特別な配慮のほか、性感染症を女性の性と生殖に関する健康問題の一つとしてとらえるような配慮を加えることが重要である。
◆◇◆◇◆

この第二項の三をもとにパートナーへの検査を推奨しているわけですが、支援側としてはむしろ第二項の四に書いてある対象者の実情に応じた追加的な配慮を期待したいわけです。実例が若者と女性になっているとはいえ、理念としては個々の事情を考えよう、まして偏見の残るHIVに関してはさらに個人の事情をきちんと踏まえよう、という対応が求められるのはまあ自然です。

まして保健所と言う告知の場での話となると、陽性告知の流れの中で「パートナーさんにも検査するように言ってね」と伝えると言うことです。告知直後の陽性者に対しての要求としてはいかがなものでしょう。
で、よく考えてみれば、保健所だって陽性告知後のカウンセリングでは、告知直後の混乱した状態でのカミングアウトはお勧めできない、と伝えることもあるはず。現場の保健師さんにとってはどうしろと、という話です。
発表者の保健所の方も「介入しろと言うこと以外何も決まっていない」と明言し「一定の方向性を決めることが大事」とした点は潔かったと感じました。実際「決まっていないことが確認できて良かった」という声もありました。
その方向性を決めるにあたって、支援者の意見が加わっていれば良いのではないかと思います。

では、患者とある程度長くお付き合いすることになる医療機関のスタッフが、タイミングを見計らって陽性者にパートナーへ検査を勧めるよう伝えるのがいいのかな、ということになります。しかしこちらはこちらで看護師の方の発表の後に大議論。
その原因は、「パートナーがいる(いた)人全員が、感染リスクのあったパートナー全員に検査を勧める」というのが目標になっているようなフシがあったことが大きな要因であったように思います。

さっそく「陽性者がパートナーに告知することを拒否する権利は担保されているのか」という質問がありました。
性的パートナーには元彼・元彼女が当然のように含まれていて、なおかつその関係が別れた後の現在も良好であるとは限りません。極端なことを言えば、「全員が全員に伝える」前提では、DV被害でパートナーから逃げてきた人であってもそのパートナーにコンタクトしなければなりません。
また、場合によっては傷害事件として訴訟沙汰になるリスクもあります。リスクのあるセックスを選んだのはどちらか片方ではなく二人であるケースも多いと思うので、性感染症を立件するのは少々微妙だと思うのですが、誰からうつされたのかに過敏になる方も当然います。
海外では、性的パートナーへの告知は医療機関などが代行するところもありますが、個人情報の問題もあります。セクシュアルマイノリティーにとっては尚更でしょう。
そもそも全員にっていう発想から脱却したほうが良いのではないかとも感じます。

こちらでは僕も一つ質問をしました。
僕からの質問は、調査結果に対して極めてシンプルな疑問のつもりで発言しました。調査結果ではこうなっていたのです。

◆◇◆◇◆
特定の性的パートナーがいた175人を対象に調べたところ、
パートナーに告知できている人が130人。
告知できていない人が45人。
◆◇◆◇◆

一見きれいな数字ですが、よく考えると「・・・・あれ?」と思いませんか。
今のパートナーには言えているけど元パートナーには言えていない、という人はゼロなのでしょうか。
セフレが二人いるなど、特定のパートナーが複数いる人がいてもおかしくありません。全員に言えているか全員に言えていないかどちらかなのでしょうか。

この点を指摘したら、あっさりと「確かに特定のパートナーが複数いる人はいました」との回答が。この回答でちょっと僕もヒートアップすることになったのですが(汗)。

この話は、前述した予防指針にもあるように、そもそも「パートナーへの予防と検査」のためのものなので、公衆衛生的な考えに立ったとしても、「ハイリスク層にどのくらいアプローチできているのか」の調査結果になっていません。この数字だとパートナーの75%くらいは陽性者から告知されているみたいですが、告知できていない人の中に何十人もセフレがいる人が数人いれば数字はひっくり返ります。そこが反映していない調査は公衆衛生的にもダメだろうと思うのです。
結局、この方向だと「パートナーに伝えることができない、という陽性者の伝えられない原因を調べてみんなが伝えられるようにしよう」という流れになるのではないかと懸念してしまいます。DVの例は極端だとしても、「今のパートナーに配慮して、元彼には連絡取りたくない」なんてのは同性愛異性愛関係なくありがちな恋愛模様として想像できるはず。また自分は元パートナーの連絡先は携帯などから抹消していて、共通の知人を介してでないと連絡できない、なんて場合もあるのではないでしょうか。

ともかくも、この分野は「全くまとまっていない」ことが明らかになったので、来年以降も白熱した議論を期待したいところです。


そういう流れが終わって、最後に陽性者のパートナーの方からの電話相談の内容の発表。多様な相談内容を丁寧にこんなこともある、あんなこともあると紹介しつつ、陽性者のパートナーの方が陽性者の方を伴わずに受けられる支援リソースが少ないということを指摘されました。
発表者の方は明らかに緊張していました(爆)。場の空気と言うものは後をひくものです。
この発表は支援の側からですので、大議論などもはや起こるはずないのですが、発表者の方が「あんなに緊張したことはない」と仰っていたのが印象的でした。
なんて書くと「お前もその一因を作っただろ」とか言われそうですが・・・・でも・・・・あれは関西の支援グループのKさんがガチだったのがイケナイのっ(責任転嫁)。


画像なしで長文になってしまったので、おまけで僕がどんなスタイルで学会に参加しているかでも。

よくある学会スタイル.jpg

だってエイズ学会だもん(酷いオチ)。
posted by sakura at 08:50| Comment(0) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月08日

まさしく垣根を超えた感のあるエイズ学会レポート臨床編とか。

前の記事に続いてのエイズ学会レポートです。
今回は臨床分野なのですが、ここでは思いがけない展開がありました。


臨床分野と言えば、症例検討とか薬の使用実績とかそんな話がまあ多いのは普通です。
しかしながらHIVは新薬が毎年のように出てくる一方、まだ20年とか服薬するとどうなるのかといった長期服薬の影響は未知数です。そのため、毎年のように薬に関しては新しい報告があります。

中でも、画期的な報告が、薬の組み合わせについて。
HIVは基本的に3種類の薬剤を一度に飲みます。HAART(ハート)療法と言われていますが、これは効き方の異なるタイプの薬剤を組み合わせると、薬に対してウイルスが耐性を持つ可能性がグッと下がるので効果が持続する、というものです。
効き方が違う組み合わせ、ということで、抗HIV薬は「キードラッグ」と「バックボーンドラッグ」というふうに分類しています。バックボーンのほうは1つの薬の中に2種類の薬剤が入っているものが主流で、その薬と、キードラッグを何か、という組み合わせです。
さて近年、これまでの薬とは全く異なる効き方をするアイセントレスという薬ができました。これは効果が高い薬として注目を浴びていたのですが、もう一つ、この薬はキードラッグでもバックボーンドラッグでもどちらでも使えるらしいことがわかってきたのです。
これは使える薬の組み合わせパターンがかなり増えるという発見で、重要な意味があります。ただし難点はアイセントレスは耐性がつきやすいうえに1日2回飲まなければならないということ。ですがアイセントレスと同じ効き方をする薬が増えるとメリットが大きいこともわかりましたので、次の新薬開発につながる発見と思われるのです。

患者の視点では、これまではバックボーンは多くの場合「ツルバダ」という薬か「エプジコム」という薬で、この薬の副作用がひどかったりすると薬の組み合わせが急に残り少なくなってしまっていました。特に日本で一番多く処方されているツルバダによる腎障害が見られる方にはたいへんな朗報と考えられています。
その腎障害ですが、特に体重が50kg以下の方がリスクが大きいとか。でも男性同性愛者中心の患者構成である日本においては、比較的体重がある人のほうが多いでしょうから、高脂血症や骨密度の低下のほうが重大な関心事になっていくように思われました。

最終日のランチョンセミナーでは、医師の見解が分かれる場面がありました。高脂血症やコレステロールの問題に対して、さらに処方を追加するかどうかです。これには東京の国立国際医療センターは比較的積極的、このランチョンの発表者である九州医療センターの南先生は消極的な態度でした。
薬の副作用を薬の追加でどうにかするのはおかしいのでは、と考えるドクターも多いようです。

歯科診療のセッションでは、各地でHIV診療をしてくれる歯科医師のネットワークを作ろうと尽力されている中田先生から、大阪の歯科医師会にチクリと苦言が。相当難航した模様ですが、このネットワーク作りの成果はwebサイトで公開する方針で、現在制作途中だそうです。

歯科というのは、HIVを診るレベルの病院においては「口腔外科」になっていることが多く、もともと領域が違うんですね。なので開業医の歯科の先生にHIVの方の診療をしていただきたいところなのですが、どうしても血液と縁のある疾患に対する理解がすすまないようです。これは社会分野とも絡んでくるのですが、かつてHIVの妊婦を診ていた産科が風評被害を受けることがあり、それが二十年以上経過した今でも生きているのかもしれません。

もう一つ、前の基礎研究のレポートでも取り上げたプレナリーセッションでも垣根を超えたところがありました。
プレナリーはHIVに関わる全ての人向けに発信されるプログラムなので、今回臨床の岩本先生が学会長なのですから当然臨床のプレナリーは学会長の意向がかなりダイレクトに反映されると思っていたのです。そして選ばれたのは、最新の治療は初日だけ、2日目は看護からセクシュアルヘルスの支援、そして3日目には何とカウンセリングが選ばれました。
これこそ今回の学会のテーマ「垣根を超えよう」を如実に示していました。というのも、エイズ学会では長年カウンセリングは「社会分野」で扱ってきたのです。あえて臨床のプレナリーにカウンセリングを突っ込んできた意味、それはおそらく「チーム医療」ということだと思うのですが、そこで発表者の荻窪病院の小島先生は平然とこう言い放ちました。

「患者が医者には伝えたくないことは、命に関わること意外は我々は患者さんから聞いてもドクターには伝えません」

つまり、医者の意向より患者の意向が優先だと、臨床の現場を代表して言い切ったのです。当たり前のことのように聞こえますが、会場の医師に対して理解してもらいたいこととしてこれを話したということは、再確認すべき大きな課題であったということなのだろうと思います。このほかにも「忙しそうにしている医者や看護師に患者は悩みを打ち明けない」などさりげなく重要なことを言っていました。「暇そうなのも仕事のうち」は名言だと思います。

小島先生がいらっしゃる荻窪病院は、陽性者の出産に関する対応でたいへん有名な病院です。それだけに妊娠中の女性の対応も当然回数をこなしておられるのでしょう。また「研修でゲイの方などのことに触れた後で、研修を受けた人から『で、先生、同性愛はどうやって治すんですか』とか聞かれるとガッカリです」というような発言もありました。先生は「自分の発表はデザートのようなもの」と言っておられ、たいへん軽妙なトークを披露されて会場を盛り上げていましたが、それらは様々な経験に裏打ちされたものであることも良くわかりました。
3回のプレナリーセッションの一番最後が小島先生だったのですが、してやったり、というところではないでしょうか。


おまけで会場の夜の様子を。

夜の会場ゲート.jpg

夜の中庭.jpg

ちなみにサンタクロースのイルミネーションです。決して泥棒ではありません(爆)。
そうそう、このイルミネーションがある場所は、日本庭園のすぐ脇です(カオス)。
posted by sakura at 04:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月07日

頑張って難しい話も聞いてみたエイズ学会レポート基礎研究編とか。

エイズ学会から世界エイズデーとその後の週末も過ぎて、ようやく少し落ち着きました。
これまでの年に比べても、今年はいろいろな活動もあってバタバタしていた感じがします。

さてこのブログでは恒例なのですが、日本エイズ学会のレポートを何回かにわけて書いていきます。
去年までは日ごとにレポートしていたのですが、今年は形式を変えようと思います。
というのも、今回のテーマは「垣根を超えよう」。エイズ学会は基礎研究、臨床、社会の3つの分野からなっているのですがその垣根を超えることに今回は主眼が置かれました。
そこで、元来社会分野の関係者である僕が見た、基礎研究と臨床に関する話題について、そしてもちろん社会分野の話題について、それぞれジャンルごとに書いていこうと思います。

というわけで最初は基礎研究。
一番縁遠い部分をレポートします!


今回の学会の会場は、高輪プリンスホテルと隣接するさくらタワー。
11月末ということで紅葉が残り、どちらの建物も風情のあるたたずまいでした。

さくらタワーエントランス.jpg

日本庭園から高輪プリンス.jpg


さてエイズ学会での基礎研究の発表と言うのは概ね理解しがたく、「なんでこの分野の研究者はヒゲが多いんですかね」とかそんなことばかり気にしていたりするわけですが(また基礎研究者には伸ばし放題なヒゲが多いの・・・・)、今回はプレナリーセッションのおかげで普段は全く関わらない基礎研究の一端に触れる機会を得ることができました。
プレナリーセッションというのは、各分野から代表者が出て、他の分野の人も含めた全ての関係者に、これは伝えたい、ということを伝えるという、全員参加型の大規模セッションです。

初日のプレナリーは国立感染症研究所の武部先生が登場し、まず「分子疫学」からスタート。
分子疫学からみた感染動向の話でした。

HIVに1型と2型(日本では極めて稀)があるのですが、1型の中にさらにいろいろな種類があるんですね。これを「サブタイプ」といいます。

薬害被害者や男性同性間の感染で広がっているのはサブタイプB。
これは欧米型と言われているもので、日本ではほとんどがこれです。

ところが、一部の地域ではサブタイプCRF01_AEが流行している地域があります。
こちらはタイに起源をもち、実際の感染動向と照らし合わせると、比較的異性間の感染が多い地域、例えば長野や茨城などに見られるという特徴があるそうです。

このサブタイプをとらえることで、実際にどのような経路で感染が拡大していると考えられるのかを推測することができます。つまり外国人のセックスワーカーによる感染が一定数いると考えられる、などです。
もちろんこの感染経路は必ずこのサブタイプ、ということはないので、サブタイプを特定されてゲイバレなんてことは無いわけですが、地域での予防の活動をしているグループや、どんな層への予防啓発に予算を多く配分するか悩んでいる自治体の人などには便利な情報が提供されるかもしれません。
逆に、異性愛の感染が目立つ地域では、男性同性間は後回し、みたいな雰囲気が生まれかねないのですが、CRF01_AE以外のサブタイプもいろいろでてきますしサブタイプBもあるわけです。サブタイプが多様であることは多様な感染ルートが存在するということでもあり、むしろ「バランスの良い多角的な予防啓発」が必要とされるということになるのです。

こんなふうに、分子疫学(基礎研究分野)と予防啓発(社会分野)がリンクすることが確認できるのがこのプレナリーセッションのよいところでした。実に刺激的なセッション。これが3日間ですので3回開催されたのです。

2日目は名古屋医療センターの杉浦先生から薬剤耐性ウイルスの動向についてでした。
こちらは薬剤耐性による治療の脱落率は1.5%という数字が出てきました。感染不安の方には「薬を忘れずに飲み続けられるか不安」→「治療が失敗するんじゃないか」→「結局自分は生きられない」みたいなものすごい負の連想をしてしまう人がいるのですが、何だかんだで皆薬は飲むのね、という印象。ただしこれは「病院に来なくなった」人は集計できないので、医療とのつながりが大事だということも再認識させられました。

そしてこの1.5%は先進国の中でも突出して優秀な数字らしいのですが、裏を返すと耐性ができてしまった人に次の一手をどうするか、という点については臨床経験の少ないドクターも多いということ。
また東海地域では感染発覚時から何らかの薬剤への耐性を持っているウイルスに感染している人の割合が他の地域に比べて高めなのではないかと言う調査報告もあり、必ずしも楽観はできないようです。

最終日は東大医科研の俣野先生からワクチンの話。
これは僕もわからなかった部分がそこそこあったのですが、ざっくり言えばHIVが体に侵入したときに感染を成立させないようその活動を阻害する物質、いわば疑似HIV抗体のようなものを体内で発生させるためのワクチンを開発しているという話でした。

印象としては1回打てば確実にというワクチンにはならなさそうだけれども、宗教的にコンドームを使えない地域などではひとつの光になりそうにも感じました。


こうしたプレナリーセッションは、話す側の技量もかなり問われます。まして基礎研究は専門用語がバンバンできてきて一般的な社会分野の人には理解のための足がかりすら見つからないことが多いのですが、今回はそれでも気づきや発見がありました。それは極力難しい用語を避けながらざっくり理解するにはどう考えたら良いかを踏まえて発表された先生のお力によるものかと思います。


こんな調子であと4回くらい続きます(社会分野はさらに細かくいろいろ書きます)。
長文が当面続きますがどうぞご容赦ください。
posted by sakura at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月15日

11月と言えば学会でそれは結局ゲイイベントに近いのではないかとか。

11月です。このブログでは11月といえば日本エイズ学会です。
今年もまたこのシーズンがやってきて、テンションが高いです(苦笑)。

学会の抄録集もこの週末に届きましたが、自分の中だけで大変な盛り上がりをみせておりまして、どのセッションに参加しようかとかいろいろ練っております。
しかも今回が開催場所が高輪プリンスということで、それもまたちょっとアガるってものです。

そんなテンションの上がった状態になると人はどんな行動をとるのか、自分の行動を客観的に振り返って見ますと・・・・。


■「新しいメガネを作りたい病」が再発。
さすがに散財すると大変なので、昔使っていたメガネを発掘。今見るとショーン・レノン風。

■合併症として「学会にきて行くシャツを買いたい」という衝動が高まる。
しかしそのための店のチョイスとしてSTUSSYは違うだろうということに店内で気づき購入中止。

■学会に来ない人から、特別な情報が入るようになる。
例えば「某先生は先日ラグシャツの上に白衣で仕事をしているのが目撃された」など(爆)。

って、それってプレリュードのときとかとあまり変わらなくないか(核爆)。


今年は24〜26日の開催なのですが、前日の23日は勤労感謝の日で祝日、学会翌日翌々日は土日ということもあって、学会に来られる方の中には長期滞在される方も。
前後のイベントなどでぜひたくさんの方と知り合って、次の活動へのモチベーションにしたいところです。


このブログでもしばらく告知やレポートが続きますが、まあそれもいつもどおりということでしょうか。本当に楽しみです。
posted by sakura at 03:30| Comment(2) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。