2012年12月29日

これからへの展望を予感する日本エイズ学会報告抗HIV薬編とか。

続いて学会報告です。
三番目に取り上げるキーワードは、【新しい治療コンセプト】です。

薬の話については、今年は中間報告っぽい話題が多かった気がします。シーエルセントリの実績報告も名古屋医療センターなどからありましたが、エジュラントはあまりなかったし、これは来年が本格的になるのかなと思います。来年の熊本学会は抗HIV薬の世界的第一人者である満屋先生が学会長なので、それもあって薬関係は来年盛り上がると思うんですよね。
今年はスカラシップで参加された陽性者の方向けに薬剤名と略語の対照表を配ったりしたのですが、どのくらい役に立ったんだろう、って感じでした。

そうしたわけで今年の学会は、どちらかというと「今後の展望」的な話題がいくつかありました。
話題としては、“NRTI-Spared”と“STR”の話です。なんだその略語、ってことでレポートしていきます。

“NRTI-Spared”はNRTIを使わない処方、つまりツルバダやエプジコムをつかわない処方のことです。
インテグラ―ゼ阻害薬のアイセントレスが登場して、「アイセントレス+カレトラ」「アイセントレス+プリジスタナイーブ」みたいな処方でもいけるんじゃないかという話が出たのが、一昨年。去年は実際にやってみていけるという話。今年はもう少し踏み込んだ分析がありました。

副作用も少ないのでものすごく期待されていた、アイセントレス+プリジスタナイーブですが、実はウイルス量が多い人だとウイルス学的な失敗(ウイルスの減りが悪い)が多いという報告がありました。
膨大なデータがあるわけではないので絶対的な指標ではないのですが、特にウイルス量が10万コピー以上で投薬を始めた時に成績があまり良くないとのことです。
逆に言えば、それなりに早期発見できた人や、ツルバダやエプジコムである程度はウイルスを抑えたけれど副作用などの関係で切り替える人(プリジスタナイーブではなくプリジスタってことになりますが)はそこそこ効果があることもわかってきたということですね。
これ、言いかえると、インテグラーゼ阻害剤の新薬が出てくれば、アイセントレスではなくその新薬を組み合わせることができる可能性も充分広がり、薬の組み合わせとして第一選択ではないものの選択肢は広がるという期待がかなり高いと考えていいと思われます。

そしてインテグラーゼ阻害剤の新薬は来年あたりの導入に向けてすでに控えています。
それはドルテグラビル(商品名はまた別につけられるはずです)。これは1日1回服用のインテグラーゼ阻害薬で、効果も全くこれまでの薬に劣らないことがすでに確認されています。

インテグラーゼ阻害剤の新薬はもう一つエルビテグラビルがあるのですが、こちらはツルバダなどとの合剤として発売される見込みなのでNRTI-Sparedということにはなりません・・・・で、こっちが“STR”なのです。

“STR”は“Single Tablet Regimen”の略。つまり1回の服薬が1錠で済む処方ということです。
ツルバダとエルビテグラビルにブースター(抗HIV薬の効果を高めるための薬)のコビシスタートという薬を合わせた合剤、ストリビルド(Stribild)が登場します。
これは1日1回1錠ですむ薬です。大きさはやや大きいのですがエプジコムとか何の問題もなく飲める人ならまあいけるような感じがしますね。
ただこれ、今のところ薬価がかなり高くなることが見込まれていて、バンバン導入するってわけにもいかない様子。患者は公的な補助がありますが、薬価が高いってことは病院や院外処方薬局は先払いで購入しておかないといけないので負担が増えます。もちろん公費の補助も増えることにはなりますが、病院なり薬局が採用してくれないとそもそも処方されることは無いので、そちらの動向も気になるところです。

ちなみにストリビルド、ちょっと前まで「クワッド」と呼ばれていたものです。こちらの名前で聞いたことがある人もいるかもしれませんね。

年末のばたばたの中ですが、レポートはあとひとつあげます。
posted by sakura at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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