2012年12月27日

地方の時代が来た予感が確信にかわる日本エイズ学会報告MSM編とか。

エイズ学会報告、社会系はやっぱり【MSM】からです。
ちなみにMSMっていうのは男性とセックスする男性のことです。自己認識のセクシュアリティーに関係なく、行動として男性とセックスをしている人全般をさしています。

MSMっていうと、これまでだとだいたい首都圏と阪神圏中心、プラス福岡と名古屋みたいな感じだったのですが、今年は違いました。
東京・大阪の次に発表が多かった地域は、なんと愛媛。
全国の政令指定都市の半分以上を抜き去って愛媛。これは画期的なことです。

とはいえ、僕自身MSM向けのボランティア活動とかしていて、これは実は驚くべきことでも何でもなくて、当然の帰結だなって感じがしました。
愛媛でMSM向けの活動をしている「HaaTえひめ」という団体があるのですが、ここ数年の活動状況から言って、こうなるのも時間の問題だってことはMSM関係者はわかっていたことだったのです。それだけ彼らは様々な活動をしていて、単なる予防啓発だけではなくて陽性者の手記リーディングイベントやティーンエージャーのMSMを応援するイベントなど様々な切り口の活動を展開しています。
熱心に活動している人がいる地域が盛り上がるのは当たり前。
むしろ、何もない地域の行政の人とかにこのインパクトを感じてほしいと思います。地域のMSMの人が名乗りを上げて動き始めるのを待つことが行政の仕事ではありません。
全体のまとめをするラパトアセッションでも、都市型モデルから各地方でのカスタマイズモデルの時代へ転換しつつあることが指摘されていましたが、その地域に合った活動をどう展開するのか、CBOを行政がどうバックアップするのか、CBOが無い地域なら行政は何をすべきなのか、そこがこれからの行政の課題というものでしょう。

まあ同じようなボランティアしているところからしてみると、HaaTえひめの活躍ぶりはプレッシャー以外の何物でもないのですけどね(爆)。

それから、MSMの話題が今年はMSMの一般演題だけではなくて、検査相談体制の演題などでも多く出ていました。
これは名古屋市立大学の市川誠一先生が中心になった「エイズ予防のための戦略研究」が2010年に終わって、その後コミュニティーセンターが事業化されたり保健師向けの研修が実施されたりという流れができたことも一つの要因かと思います。
ちょっと前の学会では「うちにはMSMの患者はいません」とか豪語するブロック拠点病院の医師とかいたわけなんですが、そういう時代に学会参加をはじめた身としては、保健師さんや医療関係者も多い検査相談体制の演題にMSMがより深く入っていくことは重要だと思うし、感慨深いですね。
その市川先生は、エイズ学会で功績を認められた人が年に一人だけ表彰されるアルトマーク賞に選出されました。
戦略研究に関わった団体の人がほぼ勢揃いで受賞講演を聞き、先生に内緒で用意した花束と色紙を渡し、プレナリーセッションそっちのけで(岩本先生すみません)、会場の廊下で市川先生を囲みました。市川先生の奥様も来られていてご挨拶をいただいたりしました。JaNP+の長谷川さんが感極まって号泣され、それが引き金で全員涙腺がやばいことになっていて、何もご存じない方が端から見ると異様な光景だったと思います(でもそれだけの想いがあったということです)。

HIVはMSM特有の病気ではないものの、MSM側の視点から見たときに、MSMのコミュニティーというものがあるとすればコミュニティーにとっての重要な健康上の課題であることは間違いありません。そうした視点の転換を僕に教えてくれたのも今思えば市川先生でした。
シンポジウムなどでアジアのMSMの話題も出ていたのですが、台湾では毎年1500人規模のMSMの新規感染がわかる状況である一方、MSM向けのHIV予防啓発活動をすることがMSMへの差別偏見を強めるのではないかという懸念があってなかなか推進(特に予算化の面で)ができないとの報告がありました。
その懸念はわかるのですが、かといって突きつけられている現状は早急な対策が必要であることを示しています。おそらくこうした懸念はコミュニティーと行政の双方から出ていると思うのですが、ではどのような方法や規模の活動を展開したらいいのかということに踏み込んで活動が進むことを願いたいと思います。

あともう一つ、福岡の報告のある数字が目に留まりました。
福岡でやったゲイのスポーツイベントに連動してMSM向けの検査会を実施したところ、陽性率(検査を受けた人の中の陽性割合)は5%くらいだったとのこと。
この5%って数字、実は名古屋や大阪といった他の地域のMSM向けの検査イベントなどを見ても、妥当な感じのある数字なのです。
こうしたイベントの場合、MSM限定でなおかつリスク行動の経験のある人が検査の対象になるので、MSM全体の陽性率から見ると高めに振れることは計算に入れないといけないのですが(完全セーフでセックスしているMSMの比率がわからないので)、だいたいどこのイベントでも3〜5%くらいの数字が出るんですよね。
なので、この数字を見たときに、「福岡でもやっぱりそうなのか」という印象があったのです。
ただ、こうしたデータは都市部のデータばかりなので、地方はどうなのかとか、まだまだ実態は不明なところもあります。

MSMの問題だけに限りませんが、都市から地方へという流れの中で、地方では特に声をあげる人が出にくいであろうMSMのことをどう扱っていくのかが重要です。
折しも、学会は来年は熊本。
地方で開催される学会でMSM向けの取り組みが地域の保健所の方とかに伝わるようにしていかないとな、と思い直しています。

まあとりあえず、松山より規模が大きくてでもMSM向けには何もやっていない地域に学会が行きますように(もちろん熊本もそういうエリアです)。

MSM関係はもう少し検査のことを書きたいのですが、それは単独のレポートに。
posted by sakura at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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