2012年12月31日

40代になったあわただしい一年を振り返りつつ来年へとか。

今年は本当にブログの更新が滞ってしまいましたが、一年の最後にちょっと振り返ろうと思います。

去年からやっているワルダクミ★メガネーズの活動は、展示だけでなく同人誌の制作販売という新しい方向に一歩踏み出し、一年間続けることができました。
震災関連では、福島での市民活動を紹介するイベント「ふくしまの話を聞こう」のスタッフを4月にやり、また来年1月13日に予定している、東日本大震災被災地応援コンサートで久々にコンサートブラスにチャレンジすることになりました。

そしてエイズボランティアでは11月に新しいイベント「QOGL」をスタートさせました。
このイベントはゲイ・バイセクシュアル男性の生活の質を考えるイベントとして年3回くらい開催していく予定です。

なんだかんだで本当に忙しい一年でしたが、全然ブログで告知できなかったのが最大の反省点で、来年はまずそこからどうにかしていこうと思います。


2012年お世話になった皆様本当にありがとうございました。
2013年もよろしくお願いします。

2013年もよろしく.jpg
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2012年12月30日

予防啓発と検査と支援の関係性が問われる日本エイズ学会報告郵送検査編とか。

年の瀬のご挨拶の前にもうひとつだけ学会報告を。
4本目のエイズ学会報告は臨床と社会をつなぐ【HIV検査の方向性】を取り上げていきたいと思います。いろいろ考えて今年はこれをラストにしようと思います。
検査の話ですが、治療の開始時期の話と絡んでいる問題でもあります。

アフリカで、陽性者と陰性者のカップルを対象に、陽性者を早期治療すると陰性者への感染率が低くなるという実験結果が出たという話、聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もう少し細かく説明すると、陽性者と陰性者のカップルを無作為に2グループにわけて、片方はCD4が一定以下になるまで投薬しない、片方はCD4を無視して治療を即開始するというグループに分けての研究で、全てのカップルにはセーファーセックスに関する知識や意識付けの教育を実施し(ここで差が出ると比較対象にならない)、それでもセーファーセックスがうまくいかずに感染してしまうケースがどのくらいあるのかを追跡するというものです。
で、2つのグループで感染が成立してしまう割合に変わりがなければ、治療開始時期が予防に影響を与えないっていう結果になったのですが、実際には早期に治療したほうが圧倒的に感染成立が少なかったため、陽性者を早々に投薬治療してウイルス量を下げておけば、セーファーセックスに失敗しても感染が起きにくいっていうことが証明されたという話です。

つまり、「感染拡大を防ぐ、予防のために治療しよう」ということです。
「予防のための治療」ということで、“Treat as Prevention”、略してTaPと呼ばれます(本当にHIV界隈は何でも略すのが好きですね)。
しかしながら予防のための治療のためには、当たり前ですが治療の対象を見つけなければなりません。
そのため、「バンバン検査してまだ見つかっていない陽性者をどんどん見つけよう!」的な考え方を持っている人たちを後押しする形になっているのです。

ただ、検査を推進する側の言い分はわかるものの、検査を受ける側、また実際に検査を担当する人の状況はどうなのでしょう。
かつて告知状況についての陽性者アンケート調査がありましたが、告知時の状況は必ずしもスムーズな受診につながるものとは限らず、告知担当者のスキルが非常に問われるものであると思います。

そんな中で、今回の学会は郵送検査に関する内容がとても多かったのが印象的でした。
中でも僕が個人的にもとても注目していた一般演題発表の一つが、MASH大阪の郵送検査(演題番号O23-107)。MSM向けに実施するということは陽性率がある程度高い可能性がある層を対象にしているわけでよりセンシティブです。
もちろん実施側もわかっているので、郵送検査キットをイベントで配布して、当日は検査会社の人をイベント会場のブースに呼び、電話相談や対面での告知が可能な状況を整備して、数ヶ月に及ぶフォロー期間を準備しての取り組みでした。
これ聞いていた方はわかると思うのですが、発表者は批判を覚悟で発表していたと思います。実際の検査利用者がフォロー体制にどのくらい乗ってくるのかわからないし、一人で自宅でネットで告知を受けることも可能なので、そこで陽性の告知を受けた場合のフォローはどこまでやっても結局は当人の行動にゆだねられるわけです。

ただ、この演題、前のレポートでも紹介したHaaTえひめの人がぼそっとこんなことを言っていたんですよね。
「地方で早期発見を目指すなら、郵送検査を選択肢の一つにしないと難しいんじゃないかな」
地方ではまだまだ平日の昼しか検査やっていないとかいうエリアもあり、町のクリニックは待合室に知り合いがたくさんいる(クリニックの選択肢が少ない)といった環境で「早期発見」を目指すには、どうしたらいいのかということですね。
早期発見という意味合いよりは、発症する前に感染に気がつくことができる環境を整える、という言い方がいいかもしれません。

ごく最近郵送検査が6万件を超えたというニュースがありましたが、企業サイドからフォローアップに関する話題も出ていました。
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/121225/ecb1212250951000-n1.htm
社名ではピンとこなくても「STD研究所」というサイトは知っているかも。そしてこの会社こそ、大阪の検査でイベント会場にブースを出した会社なのです。

アメリカのガイドラインはCD4の数値関係なく即投薬へと動いているという報告もありました。検査から治療までが短くなっていく中で、どんなフォローができるのか、そして早期発見の名の下にしていいこととしてはいけないことはどう線が引かれるのか、慎重に推移を見ていくことが大事だろうと思います。

最終日の公開講座の座長でもあった、産経新聞の宮田さんがまとまった記事を書かれました。
予防としての支援、という言葉、これから重要なキーワードになりそうです。
こちらもご参照ください。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121212/bdy12121207400004-n1.htm
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2012年12月29日

これからへの展望を予感する日本エイズ学会報告抗HIV薬編とか。

続いて学会報告です。
三番目に取り上げるキーワードは、【新しい治療コンセプト】です。

薬の話については、今年は中間報告っぽい話題が多かった気がします。シーエルセントリの実績報告も名古屋医療センターなどからありましたが、エジュラントはあまりなかったし、これは来年が本格的になるのかなと思います。来年の熊本学会は抗HIV薬の世界的第一人者である満屋先生が学会長なので、それもあって薬関係は来年盛り上がると思うんですよね。
今年はスカラシップで参加された陽性者の方向けに薬剤名と略語の対照表を配ったりしたのですが、どのくらい役に立ったんだろう、って感じでした。

そうしたわけで今年の学会は、どちらかというと「今後の展望」的な話題がいくつかありました。
話題としては、“NRTI-Spared”と“STR”の話です。なんだその略語、ってことでレポートしていきます。

“NRTI-Spared”はNRTIを使わない処方、つまりツルバダやエプジコムをつかわない処方のことです。
インテグラ―ゼ阻害薬のアイセントレスが登場して、「アイセントレス+カレトラ」「アイセントレス+プリジスタナイーブ」みたいな処方でもいけるんじゃないかという話が出たのが、一昨年。去年は実際にやってみていけるという話。今年はもう少し踏み込んだ分析がありました。

副作用も少ないのでものすごく期待されていた、アイセントレス+プリジスタナイーブですが、実はウイルス量が多い人だとウイルス学的な失敗(ウイルスの減りが悪い)が多いという報告がありました。
膨大なデータがあるわけではないので絶対的な指標ではないのですが、特にウイルス量が10万コピー以上で投薬を始めた時に成績があまり良くないとのことです。
逆に言えば、それなりに早期発見できた人や、ツルバダやエプジコムである程度はウイルスを抑えたけれど副作用などの関係で切り替える人(プリジスタナイーブではなくプリジスタってことになりますが)はそこそこ効果があることもわかってきたということですね。
これ、言いかえると、インテグラーゼ阻害剤の新薬が出てくれば、アイセントレスではなくその新薬を組み合わせることができる可能性も充分広がり、薬の組み合わせとして第一選択ではないものの選択肢は広がるという期待がかなり高いと考えていいと思われます。

そしてインテグラーゼ阻害剤の新薬は来年あたりの導入に向けてすでに控えています。
それはドルテグラビル(商品名はまた別につけられるはずです)。これは1日1回服用のインテグラーゼ阻害薬で、効果も全くこれまでの薬に劣らないことがすでに確認されています。

インテグラーゼ阻害剤の新薬はもう一つエルビテグラビルがあるのですが、こちらはツルバダなどとの合剤として発売される見込みなのでNRTI-Sparedということにはなりません・・・・で、こっちが“STR”なのです。

“STR”は“Single Tablet Regimen”の略。つまり1回の服薬が1錠で済む処方ということです。
ツルバダとエルビテグラビルにブースター(抗HIV薬の効果を高めるための薬)のコビシスタートという薬を合わせた合剤、ストリビルド(Stribild)が登場します。
これは1日1回1錠ですむ薬です。大きさはやや大きいのですがエプジコムとか何の問題もなく飲める人ならまあいけるような感じがしますね。
ただこれ、今のところ薬価がかなり高くなることが見込まれていて、バンバン導入するってわけにもいかない様子。患者は公的な補助がありますが、薬価が高いってことは病院や院外処方薬局は先払いで購入しておかないといけないので負担が増えます。もちろん公費の補助も増えることにはなりますが、病院なり薬局が採用してくれないとそもそも処方されることは無いので、そちらの動向も気になるところです。

ちなみにストリビルド、ちょっと前まで「クワッド」と呼ばれていたものです。こちらの名前で聞いたことがある人もいるかもしれませんね。

年末のばたばたの中ですが、レポートはあとひとつあげます。
posted by sakura at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月27日

地方の時代が来た予感が確信にかわる日本エイズ学会報告MSM編とか。

エイズ学会報告、社会系はやっぱり【MSM】からです。
ちなみにMSMっていうのは男性とセックスする男性のことです。自己認識のセクシュアリティーに関係なく、行動として男性とセックスをしている人全般をさしています。

MSMっていうと、これまでだとだいたい首都圏と阪神圏中心、プラス福岡と名古屋みたいな感じだったのですが、今年は違いました。
東京・大阪の次に発表が多かった地域は、なんと愛媛。
全国の政令指定都市の半分以上を抜き去って愛媛。これは画期的なことです。

とはいえ、僕自身MSM向けのボランティア活動とかしていて、これは実は驚くべきことでも何でもなくて、当然の帰結だなって感じがしました。
愛媛でMSM向けの活動をしている「HaaTえひめ」という団体があるのですが、ここ数年の活動状況から言って、こうなるのも時間の問題だってことはMSM関係者はわかっていたことだったのです。それだけ彼らは様々な活動をしていて、単なる予防啓発だけではなくて陽性者の手記リーディングイベントやティーンエージャーのMSMを応援するイベントなど様々な切り口の活動を展開しています。
熱心に活動している人がいる地域が盛り上がるのは当たり前。
むしろ、何もない地域の行政の人とかにこのインパクトを感じてほしいと思います。地域のMSMの人が名乗りを上げて動き始めるのを待つことが行政の仕事ではありません。
全体のまとめをするラパトアセッションでも、都市型モデルから各地方でのカスタマイズモデルの時代へ転換しつつあることが指摘されていましたが、その地域に合った活動をどう展開するのか、CBOを行政がどうバックアップするのか、CBOが無い地域なら行政は何をすべきなのか、そこがこれからの行政の課題というものでしょう。

まあ同じようなボランティアしているところからしてみると、HaaTえひめの活躍ぶりはプレッシャー以外の何物でもないのですけどね(爆)。

それから、MSMの話題が今年はMSMの一般演題だけではなくて、検査相談体制の演題などでも多く出ていました。
これは名古屋市立大学の市川誠一先生が中心になった「エイズ予防のための戦略研究」が2010年に終わって、その後コミュニティーセンターが事業化されたり保健師向けの研修が実施されたりという流れができたことも一つの要因かと思います。
ちょっと前の学会では「うちにはMSMの患者はいません」とか豪語するブロック拠点病院の医師とかいたわけなんですが、そういう時代に学会参加をはじめた身としては、保健師さんや医療関係者も多い検査相談体制の演題にMSMがより深く入っていくことは重要だと思うし、感慨深いですね。
その市川先生は、エイズ学会で功績を認められた人が年に一人だけ表彰されるアルトマーク賞に選出されました。
戦略研究に関わった団体の人がほぼ勢揃いで受賞講演を聞き、先生に内緒で用意した花束と色紙を渡し、プレナリーセッションそっちのけで(岩本先生すみません)、会場の廊下で市川先生を囲みました。市川先生の奥様も来られていてご挨拶をいただいたりしました。JaNP+の長谷川さんが感極まって号泣され、それが引き金で全員涙腺がやばいことになっていて、何もご存じない方が端から見ると異様な光景だったと思います(でもそれだけの想いがあったということです)。

HIVはMSM特有の病気ではないものの、MSM側の視点から見たときに、MSMのコミュニティーというものがあるとすればコミュニティーにとっての重要な健康上の課題であることは間違いありません。そうした視点の転換を僕に教えてくれたのも今思えば市川先生でした。
シンポジウムなどでアジアのMSMの話題も出ていたのですが、台湾では毎年1500人規模のMSMの新規感染がわかる状況である一方、MSM向けのHIV予防啓発活動をすることがMSMへの差別偏見を強めるのではないかという懸念があってなかなか推進(特に予算化の面で)ができないとの報告がありました。
その懸念はわかるのですが、かといって突きつけられている現状は早急な対策が必要であることを示しています。おそらくこうした懸念はコミュニティーと行政の双方から出ていると思うのですが、ではどのような方法や規模の活動を展開したらいいのかということに踏み込んで活動が進むことを願いたいと思います。

あともう一つ、福岡の報告のある数字が目に留まりました。
福岡でやったゲイのスポーツイベントに連動してMSM向けの検査会を実施したところ、陽性率(検査を受けた人の中の陽性割合)は5%くらいだったとのこと。
この5%って数字、実は名古屋や大阪といった他の地域のMSM向けの検査イベントなどを見ても、妥当な感じのある数字なのです。
こうしたイベントの場合、MSM限定でなおかつリスク行動の経験のある人が検査の対象になるので、MSM全体の陽性率から見ると高めに振れることは計算に入れないといけないのですが(完全セーフでセックスしているMSMの比率がわからないので)、だいたいどこのイベントでも3〜5%くらいの数字が出るんですよね。
なので、この数字を見たときに、「福岡でもやっぱりそうなのか」という印象があったのです。
ただ、こうしたデータは都市部のデータばかりなので、地方はどうなのかとか、まだまだ実態は不明なところもあります。

MSMの問題だけに限りませんが、都市から地方へという流れの中で、地方では特に声をあげる人が出にくいであろうMSMのことをどう扱っていくのかが重要です。
折しも、学会は来年は熊本。
地方で開催される学会でMSM向けの取り組みが地域の保健所の方とかに伝わるようにしていかないとな、と思い直しています。

まあとりあえず、松山より規模が大きくてでもMSM向けには何もやっていない地域に学会が行きますように(もちろん熊本もそういうエリアです)。

MSM関係はもう少し検査のことを書きたいのですが、それは単独のレポートに。
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2012年12月26日

また新しい課題が登場した日本エイズ学会報告HAND編とか。

ばたばたして全然更新できていなくてすみません。
でも、学会の報告だけはちゃんとやろうと思いました。

慶應大学日吉キャンパスで開催された、第26回日本エイズ学会から1ヶ月が経過しました。
形式はここ数年と同じように、今年のキーワードを軸に何本かアップしていく形式です。

まず最初に取り上げるのは、今年臨床系で話題沸騰、【HAND】であります。

HANDは“HIV-Associated Neurocognitive Disorders”の略です。neurocognitiveって滅多に目にしない単語ですが、「認知神経科学的な」などと略される言葉で、HANDの訳は「HIV関連神経認知障害」となるそうです。
認知障害というと、以前は痴呆症と言われていた高齢者の「認知症」を想像しがちですが、HANDというのはもっと幅の広い言葉のようで、認知機能の低下レベルに応じていくつかの段階があるようです。

・HIV関連認知症(HAD = HIV-Associated Dementia)
 →重症の認知機能障害、運動/行動異常がある

・軽度神経認知障害(MND = Mild Neurocognitive Disorder)
 →転倒しやすいなど、日常生活に軽度の障害がある

・無症候性神経認知障害(ANI = Asymptomatic Neurocognitive Impairment)
 →日常生活上では症状が見られないが神経心理試験などにひっかかる

このうちHADは目に見える障害なので、逆にこれまでの治療の過程でもまず見逃されることはなかったわけですが、実はよく調べてみるとHIV陽性者に同じ世代の陰性の人に比べて軽い認知障害がみられる事例が多いことがわかって、これからはMNDやANIにも注意しましょうという流れになっていて、今回の学会で突然注目を集めたということなのです。
認知機能障害は軽度であっても、薬の飲み忘れが増えるリスクがあるとか、転倒しやすくなったりということがあります。最近は骨密度の低下の副作用が話題になっていましたので、それに加えて認知機能障害で転倒が増えれば当然骨折のリスクが高いということにもなりますね。

そこで問題になるのが、「じゃあどうやって判定するの?」ということなんです。
認知機能を判定するための神経心理試験などの検査、本格的にやろうとすると一人2時間とかかかってしまうそうなのです。
これ全員にやろうとすると、患者さんが集中している病院では物理的に無理だろって話。なので、まずはそうした本格的な検査が必要な人とそうでない人を見分ける手法を確立することが必要、っていうのが臨床的に課題になっているわけです。

ヨーロッパのガイドラインには既に、簡単な質問を3点実施して、それによって気になる所見があれば本格的な検査に進む、ということが盛り込まれているそうなのですが、日本人の性格的なものを考慮して日本版のHANDスクリーニング法(検査が必要な人をふるい分けする方法)が必要だという提言がありました。
日本人は曖昧な回答をしがちなので、ヨーロッパの質問をそのまま導入しても判定しにくい可能性があるので、日本人向けのものを開発しようってことです。

それからもうひとつ重要なのは、認知機能の検査にひっかかったときに、HIV以外の原因ではないのかをきちんと検査すること。
HIVが脳の血管に炎症を起こすなどして起こるのがHANDなのですが、HIV陽性者の寿命が延びた今、別にHANDでなくても高齢による認知障害が起きたりすることはあるわけで、そこをきちんと鑑別しないと、適切な治療ができないわけです。

HANDの治療についてもちょっと解説がありました。抗HIV薬の中には脳にいるHIVに影響を与えやすいものと与えにくいものがあることがわかっていて、つまり与えやすい薬に変えると、HIVが原因だった場合は認知機能障害が低減するわけです。今後出てくる新しい薬も脳への影響が常に評価されていくと思います。
なので、HIVが原因ならそうした治療が効果が期待できるわけですが、HIVが原因ではなかった場合をきちんと見分けず薬を変えると、これまで効果が高かった薬をわざわざ変えて、副作用なんかも出たりして、でも認知機能は改善しない、みたいな状況になることも考えられます。なので鑑別がまさに大事なのです。

逆に患者側としても、「最近物忘れがひどい」「何もないところでよく転ぶようになった」なんてことは感染症の外来ではあまり言わないことだったと思うのですが、これからはちょっと相談してみてもいいかもしれません。
メンタルヘルスの問題なども認知機能は関わるので、患者自ら勝手に診断するのではなく、可能性の一つとして主治医と一緒に考えてみるのがいいんじゃないかという印象をもちました。

今年の学会報告は多分4本かなと思います。あいにく画像をほとんどとっていないのでテキスト中心ですがご容赦ください。
posted by sakura at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ボランティア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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